残酷で恐ろしい世界を美しく表現 エドワードゴーリー 練馬区立美術館

荻窪駅からバスで中村橋に行きそこから3分とのことだったので行ってみました。

バスの優先席が空いていたので座ると、おばあさんに話かけられました。これは阿佐ヶ谷に行くの?と。

あなたの白いメガネかっこいいわねえ。どこで買ったの?その画面は何?映画見れるの?何ていうのそれ?
携帯電話なくしちゃったのよ。家は鷺宮で、泥棒が多くて2回も泥棒に入られたのよ。布団だけじゃなくてフライパンまでもって行かれて、それ以来買わないで外で食べるの。もう5日間ご飯食べてないの。弥生軒は美味しいわよ。あなた知ってる?それと中村橋の駅前は西友があるの。安くて助かる。

今は60歳で息子たちは全く連絡して来ない。旦那は肺がんで先立たれて、再婚のお話も頂いたけど断ったの。山口県の下関から東京に出てきて移動費に億使ったとも。証券会社で働いていて昔はお客が株を購入するときに電話がかかってきて家に伺ってお金を預かったのよ。この年になると話相手が欲しいの。

壊れた蓄音機のように3回くらい上記の話を繰り返し聞かされてやっと中村橋駅に到着。

おばあさんは終点にも関わらず全く降りない様子でした。

練馬区立美術館にエドワードゴーリーを見に行く途中だったのですが、ゴーリーの絵のようなシュールな体験をしてしまい、しかも雨が降っている上に寒さも相まって展覧会を見る前に既に複雑な気分に。。

何かの罰ゲームかとも思いましたが、自分への戒めとして歳を取ると自分もああなるかもしれないと思い、気を取り直して展示を見て周ります。

中に入ると展覧会終了間近でしたので超満員でした。

ゴーリーは色々な名前で本を出版しています。絵もそうですが、どのストーリーもシュールで怖いです。コレクターも多くいるようです。

子供たちが色々なパターンで死ぬシーンを描いて集めた本や、些細な喧嘩で人を殺して最後は気が違って自殺してしまうストーリーなど、どう見ても子供向けの絵本ではない内容ばかりです。こんな内容の本を日本の子供は読むんだろうか?と。でも、なぜか惹きつけられます。

絵本ではあるけれど現代アートといっても過言ではないです。

そんなゴーリーの絵ですが、やはり、おばあさんのインパクトが強すぎて、中々ストンと入ってきません。

ライブで言うと前座のおばあさんとの会話が生々しくてメインの絵の世界になかなか入り込めない感じでしょうか。偶然とはいえ怖かったです。

あのおばあさんは一体なんだったのでしょうか?5日間もご飯を食べてないと言う意味はなんなんだろう?なぜ?自由が丘からなぜ鷺ノ宮に引っ越したのか?息子さん達となんで連絡してない?泥棒に2回も布団やフライパンまで持っていかれるって本当なんだろうか?泥棒が入られた時に何で鍵を変えない?タイでもないのにそんな泥棒が本当にいる?友達はみんな死んだって、まだ60歳なのに?携帯も失くしてそのまま?毎月の契約料は?

ゴーリーの絵のように冷たく残酷な世界観です。絵の世界観と相まって彼女の人生の深い闇を覗いたような気分になりました。自分でコントロールしなくてはいけないのに諦めて全て放棄してしまったかのような印象でした。